ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
目のやり場に困って横に逸らしたら、彼はソファを回って私との距離を詰め、顔を覗き込むようにして強引に視界に入ってきた。
「夕羽ちゃん、もしかして、裸の俺に照れてるの?」
なんとなく嬉しそうな、なにかを期待しているような、生き生きとした瞳に見つめられ、私の鼓動は勝手に加速する。
そりゃ、照れるでしょう。
子供の頃とは違い、彼は男で私は女だという意識は正常範囲内で持っている。
こんなに近くで異性に裸を見せられたら、多少なりとも動揺するものだ。
それが本心であるけれど、おかしな空気になるのが嫌で、真顔で言葉を返す。
「ふざけてないで服を着て。早くしないと、私は炒飯持って自分の部屋に戻るよ」
すると彼は別のソファ上に置いてあった黒いTシャツと部屋着のズボンを手に取る。
私の脅しに慌てている素振りはなく、クスリと余裕のある笑い方をして、「暑い? 顔が赤いよ。室温は二十三度まで下げたのにおかしいな」と着替えながらからかうので、私は頬を膨らませた。
そういう冗談は、友達の私ではなく、どこぞの可愛子ちゃんにやっておくれ……。
それからは、リビングとドア一枚で繋がっている、隣のダイニングキッチンへと移動する。
ここはちょっとしたレストランの厨房ほどの広さはあるだろう。
八人掛けの白い天板のダイニングテーブルには、今日の彼の夕食と思われる、和食有名店の弁当が置いてあった。
「夕羽ちゃん、もしかして、裸の俺に照れてるの?」
なんとなく嬉しそうな、なにかを期待しているような、生き生きとした瞳に見つめられ、私の鼓動は勝手に加速する。
そりゃ、照れるでしょう。
子供の頃とは違い、彼は男で私は女だという意識は正常範囲内で持っている。
こんなに近くで異性に裸を見せられたら、多少なりとも動揺するものだ。
それが本心であるけれど、おかしな空気になるのが嫌で、真顔で言葉を返す。
「ふざけてないで服を着て。早くしないと、私は炒飯持って自分の部屋に戻るよ」
すると彼は別のソファ上に置いてあった黒いTシャツと部屋着のズボンを手に取る。
私の脅しに慌てている素振りはなく、クスリと余裕のある笑い方をして、「暑い? 顔が赤いよ。室温は二十三度まで下げたのにおかしいな」と着替えながらからかうので、私は頬を膨らませた。
そういう冗談は、友達の私ではなく、どこぞの可愛子ちゃんにやっておくれ……。
それからは、リビングとドア一枚で繋がっている、隣のダイニングキッチンへと移動する。
ここはちょっとしたレストランの厨房ほどの広さはあるだろう。
八人掛けの白い天板のダイニングテーブルには、今日の彼の夕食と思われる、和食有名店の弁当が置いてあった。