ふつつかな嫁ですが、富豪社長に溺愛されています
三門家の人々は、凄腕の二代目から帝王学を授かり、それを実践して大企業グループを守っている。
その帝王学の中のひとつに、『人の上に立つ者、心を鬼にし隙を見せるべからず。個の甘さはすなわち、集団の弱体へ繋がると心得るべし』というものがあり、その教えのせいでよっしーは、無理して鬼の仮面を被っているということだった。
初めてその話を聞かせてくれた彼は、私と自分の口に、交互にセレブ弁当の惣菜を入れつつ、少し困った顔をする。
「夕羽ちゃんの言う通り、俺は無理しているのだろう。人を叱るのは気分のいいものじゃない。ここまで責めなくてもいいのではと自分でも感じることがあるし、部下に対して申し訳ないと思う時もある」
「それなら……」と私は口を挟む。
本人も自覚しているというなら、話は早い。
ここがやり方を変える転機でしょう、と期待が膨らんだ。
最後に残った惣菜、ヒラメの西京焼きを私の口に入れてくれた彼は、「ご馳走さま。炒飯が一番美味しかった」と気遣い溢れた感想を述べて重箱の蓋を閉め、それから続きを話しだす。
「子供の頃、じいちゃんにはよく叱られたよ。身内にも厳しい人だった。俺がやり方を変えたせいで、もし業績が悪化したら、怒ったじいちゃんが墓の中から出てきそう」
その帝王学の中のひとつに、『人の上に立つ者、心を鬼にし隙を見せるべからず。個の甘さはすなわち、集団の弱体へ繋がると心得るべし』というものがあり、その教えのせいでよっしーは、無理して鬼の仮面を被っているということだった。
初めてその話を聞かせてくれた彼は、私と自分の口に、交互にセレブ弁当の惣菜を入れつつ、少し困った顔をする。
「夕羽ちゃんの言う通り、俺は無理しているのだろう。人を叱るのは気分のいいものじゃない。ここまで責めなくてもいいのではと自分でも感じることがあるし、部下に対して申し訳ないと思う時もある」
「それなら……」と私は口を挟む。
本人も自覚しているというなら、話は早い。
ここがやり方を変える転機でしょう、と期待が膨らんだ。
最後に残った惣菜、ヒラメの西京焼きを私の口に入れてくれた彼は、「ご馳走さま。炒飯が一番美味しかった」と気遣い溢れた感想を述べて重箱の蓋を閉め、それから続きを話しだす。
「子供の頃、じいちゃんにはよく叱られたよ。身内にも厳しい人だった。俺がやり方を変えたせいで、もし業績が悪化したら、怒ったじいちゃんが墓の中から出てきそう」