溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
ゆさゆさと身体を揺すられ、次第に焦点があっていく。

「もうなにもしないから安心していい」

「君嶋、課長……?」

そっと、目尻の涙を拭う君嶋課長の手はまるで繊細な壊れ物にでもさわるかのように慎重だった。
それに……酷く心配そうな顔をしている。

「もうなにもしないから」

私が我に返ったのに気づいたのか、少しだけ笑うと君嶋課長は身体を離した。
その笑顔はどこか悲しそうで、心臓がぎゅっと締まる。

「あれだったらベッドはいままで通り別々でいい。
俺は今日、ソファーで寝るし」

どうしてこの人はこんなに悲しそうなんだろう。
私に拒否されたから?
でも、そうじゃない気がするのはなんでだろう。

「一緒に寝るくらい、大丈夫ですから」

君嶋課長の袖を引きながら、自分でもなにを言っているんだろうと思う。
最近はひとりじゃないと熟睡できないのに。
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