【完】今日も明日も、俺はキミを好きになる。
振り返ればやはり、肩を上下に大きく揺らした彼が立っていた。
……こんなところ見られたくなかった。あなただけには。
あなたに心の弱さを晒す勇気なんてなくて、あなたがすべてを知ることになるのは、私がなにもかも捨ててしまった後がいいと逃げたのに。
あなたは多分、私の弱みだから。
明希ちゃんはなにも言わず、硬い表情のまま一歩、そして一歩と、ゆっくりだけど確実にこちらへ歩いてくる。
軽蔑した? 呆れた? いろんな思いが心を過ぎる。
――けれど、そんなことがあるわけないこと、私が一番知っていた。
明希ちゃんは、動けないまま立ち尽くす私の腕を引くと、一瞬の躊躇いもなくその胸に抱き寄せた。
足の先が、なにもない宙から彼に向かう。
嗅ぎ慣れた甘い香りは嫌でも心を熱く締めつけ、風にさらされていた私のものではない高い体温は〝生〟を突きつけた。
「ごめん」
様々な感情の中からやっと探り出したと言うように、明希ちゃんがゆっくり声を発した。