【完】真昼の太陽
痛々しいほどに光る金色の髪。
じゃらじゃらと鎖をぶら下げたダメージジーンズ。
そんな危険をぶら下げて歩いているやつについていくやつなんてただのバカだ。


ほんとう、脳みそまでからっぽ。


腕時計で時間を確認するとちょうど深夜にまわったぐらいだった。
もうそろそろみんな寝てるかな。


何時間も座っていたせいでお尻が痛い。
スカートについたほこりを払い落して。
喧騒の中を歩く。


煙草とお酒の匂い。
むせかえるほどの甘ったるい香水の匂い。
嗅覚が狂いそうになる。
今胸いっぱいに空気を吸ってしまえば。
胃の中のものすべて、吐き出してしまいそうだ。


繁華街から30分ほど歩いた所。
住宅街と公園が近くにある小さな施設。
今井養護施設。
そこが私の住んでいる場所。


みんなを起こしてしまわないように裏口から家の中に入る。
裏口の横にお風呂場があるからそのまま足を進めて。
5分ほどで終わらせて自室へ戻る。


ものひとつ置かれていない。
必要最低限の物しか置かない。
人が住んでいるとは思えないほど簡素な部屋。


これくらい何もない真っ白な部屋が酷く落ち着く。
毛布にくるまって私はそっと目を閉じた。
そして深く深く堕ちるように。
浅い眠りに身をゆだねた。



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