突然現れた御曹司は婚約者
でも異彩を放つ蓮がどうしても目に入ってしまう。

座って間もないのに隣の男性と親しげに話したり、オーナーと笑い合っているなんて。

牧田くんに接していた態度を見る限り、人付き合いとか上手くなさそうなのに。


「いったい何者なの、東堂蓮って」
「それを見れば分かるだろ」


順番でやって来た蓮が目の前で長い脚を組み、交換したプライベートシートを顎で指してきた。

そこには趣味や家族構成、好きなタイプや最近気になること、職業、年収などが書き込まれているはずだけど。


「年収以外書いてありませんが」
「突然のことだったから、丸をつけるもの以外は書かなかったんだ。だから知りたいことがあるなら言え。なんでも答えてやるから」


そんなこと急に言われても困る。

そもそも関わりたくないし。

無言で用紙を押し返す。

でもそれは受け取って貰えなかった。


「少しは俺に興味を持てよ。その意味も含めて秘書がこれに参加したらどうかと勧めてきたんだから」


お節介な上に困った秘書だ。

秘書なら仕事関連のことだけに目を向けていればいいものを。


「大変ですね」
「そうだな。栞を落とすのには苦労しそうだ」

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