彩―IRODORI―
コウキ、あんたはあたしのこと、買いかぶりすぎだよ。
あたしはすごく卑怯なオンナだよ。

あたしも、涙をこらえられなくなった。

「アヤ、言いたいことは分かったよ」

コウキは悲しそうな声で言った。

「「別れよう」」

二人の声が重なった。

別れ話をしてるのに、あたしたちは抱き合った。

誰かが通りがかるかもしれないのに。
泣きながら、あたしたちは抱き合った。

コウキは、あたしにずっと「ゴメン」と言った。
あたしは、コウキにずっと「ゴメン」と思った。

静かな公園。
ひんやりした空気。
コウキの体温。

あたしは、ずっと忘れない。
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