契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
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「……あ、あああああぁ………っ⁉︎」

GWを京都市内にいる単身赴任中の夫とともに過ごして「フル充電」したと思われるしのぶが、ログハウスに来てリビングに入るなり、奇怪な雄叫びをあげた。

「神宮寺先生っ……とうとう……栞ちゃんに手を出しましたねっ‼︎」

さらに、悲痛な叫び声となる。

……な、な、なんでバレたんっ⁉︎


「……バレるに決まってるでしょうよ……っ」

栞の表情を読んだしのぶは、そのまま崩れるようにL字型のソファに突っ伏した。

「おかしいなー。なんで神崎にバレたんだろう?
……なぁ、栞?」

反対側のソファにいた神宮寺が、(とろ)けるような笑みを浮かべて、隣にぴったりと引き寄せた栞を見つめる。さらに、ビミョーな手つきで彼女の腰をさわさわしていた。
それになにより、栞自身がそんな彼をまったく嫌がっていなかった。

このGWの間、肝心の仕事は事実上「休業状態」になっていた神宮寺から、隙あらば寝室(ベッドルーム)にあるキングサイズのベッドに引っ張り込まれていた栞は、二十七年間守ってきたものと一緒に、彼との「他人から踏み込まれたくない領域(パーソナルスペース)」までも、こっぱみじんこに突き破られていたのだ。


「……というわけで、神崎。
おれから『通常夫婦間で行われる性交およびこれに準じる行為等を要求しない。』とかいう契約内容は省いてくれ。そもそも、もう『契約』自体、必要ないんじゃないのか?……なぁ、栞」

そう言って、神宮寺は栞のつむじにちゅ、とキスを落とした。

「ちょ、ちょっと……ほんとに、オンナに対しては見境がなくて人でなしの……あの『作家・神宮寺 タケル先生』ですか?
……もしかして、GW中にこの山奥に不時着した宇宙人によって、魂を乗っ取られてなり代わられたんじゃ……」

しのぶには目の前の神宮寺が、とてもとても信じられなかった。それよりもまだ、東京ス◯ーツの宇宙人に関する記事の方が信憑性がある。

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