契約結婚はつたない恋の約束⁉︎
しかし、栞に「検証」の手を緩める気は毛頭ない。自分自身に課した使命である、姉の「援護射撃」を遂行するまでだ。
「でも……もし、そんなにあなたに『母親の自信』があったんでしたら『お兄さん』に選択権を与えて委ねはってもよかったんやないですか?
もちろん……うちの姉にもですけど」
栞の目からは、幼いながらも真摯に思いあっていたように見える智史と稍が、親のプライドと意地によって生木を割くように引き離されたのが、あまりにも遣る瀬なかった。
どちらの側を選ぶにせよ、親から一択で突きつけられるより、せめて「自分で決めた選択」であってほしかった。
そして、姉と「兄」ならば、たとえ幼い小学生であったとしても、きちんと自分で「答え」を出せたはずだと思わずにはいられなかった。
「そら……あんたは、洋史とみどりに育ててもらいたかったやろな?
それでわたしのことを恨んでて、そんなふうに言うてんねやろ?『復讐』してるのは、むしろあんたの方とちゃうの?
……せやけど、そんな『不貞行為』を犯した者同士が仕切り直して築いた家庭の、どこが『健全』っていうんよ?
それこそ……人としての道理に反しても平気な倫理観の中で子どもがまっすぐ育つとは、わたしには到底思えへんわ」
登茂子は胡乱な目をして唾棄するように言った。