契約結婚はつたない恋の約束⁉︎

「あたしは……その『不貞行為』によって生まれた『不義の子』です。自分ではどうしようもないけど……でも、そうなんですよね」

栞は混じり気のない澄んだ目でそう言った。
登茂子の目とは対照的だ。

すると、先刻(さっき)からずーっと栞につながれている手が、ぎゅうぅっと力を込めてきた。

ふと見ると、いつもふてぶてしさを全開にしているその手の主が、まるで迷子になってしまった幼い男の子のように、心許なさげな顔をして見つめ返してくる。

笑うと垂れ気味になるアーモンドの形をした瞳が、今は心配そうに「大丈夫か?」と問うている。

……うっ、たっくん、かわいすぎる……

「大丈夫」と答える代わりに、栞もぎゅううっと握り返した。

栞にとって、なによりのパワー充電(チャージ)となった。

< 156 / 214 >

この作品をシェア

pagetop