契約結婚はつたない恋の約束⁉︎

ぅう……ぅう……っと、唸り声を上げて耐えている栞の目から、ぽろぽろぽろ…と涙がまろび出た。神宮寺はその涙をぺろり、と舌でぬぐった。

「……栞、痛いか?」

栞は痛みを逃すために、手のひらに爪が食い込むほど握り締めていた。
その手を(ほど)いて、今度は神宮寺の手が栞の手を恋人つなぎのようにがっちりと握る。

「痛ければ……おれの手を思いっきり握れ」

すると、引きちぎられるかと思うくらい、強くつよく握り締められた。

……これ以上は、無理だな。

神宮寺は奥底まで挿し入れた自身を、すーっと引き抜こうとした。

「……た……っく……ん……?」

あふれ出る涙で大きな瞳を潤ませた栞が、心許なさげに彼を見上げた。

そのとき、彼女の膣内(なか)が出て行こうとする彼を追い縋るように、きゅ……っと狭くなり、締めつけてきた。


……神宮寺には、もう、(こら)えきれなかった。

< 88 / 214 >

この作品をシェア

pagetop