【BL】貴方を好きになっていいですか?
腕にしがみついてくる直貴を軽く小突き、僕は部屋を出た。

ドアを閉めた後、直貴がドアを軽く殴る音が聞こえたが、僕はそのまま部屋に背を向けた。














『せっかくの休日なのに』



直貴が今朝、僕に言った言葉だ。

今日は珍しく部活が無いらしく、仕事も休みの僕に彼は多分デートに行きたい、と誘ってきたのだろう。


だけど僕は、その期待に応えてあげられなかった。



「ねぇ…、彰さん。本当に行っちゃうんですか?」



僕の後ろに抱き付きながら、直貴が訊ねる。



「あぁ。社長から連絡が入ったからな」



僕は動きにくい体勢のまま、ベッドの上に置いてあった仕事用の鞄を手に取った。

直貴は、耳元で少し悲しそうな吐息を吐き、



「……結局何処にも行けませんでしたね」


< 20 / 71 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop