獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
昼を過ぎると、アメリは中庭の掃除を言い渡された。
要塞城であるロイセン城にも、僅かではあるが美しい庭がある。それは見張りの常駐する塔と居館の間にあり、女神像をシンボルとした小さな噴水の周りには、色とりどりの季節の花が咲いていた。
箒を手にアメリが中庭に行くと、噴水の脇に小さな人影を見つけた。うずくまり本を読みふけっている、騎士見習いのアレクだ。
よほど面白い本なのか、アレクは夢中で本のページをめくっている。アメリは、アレクに声を掛けようとした。カイルに冷たくあしらわれ、深く傷ついてはいないか気がかりだったのだ。
だが、アメリが行くよりも早く、数名の少年騎士達がどこからともなくやってきてアレクを取り囲んだ。休憩時間で、暇を持て余しているのだろう。
「あ、弱虫アレクだ。こいつ、また本なんか読んでやがる」
「ネクラだな」
「落ちこぼれの癖に、こんなところで油を売ってていいのかよ」
すぐに、少年たちの執拗な嫌がらせが始まった。一人の少年がアレクの手から本を取り上げると、アレクをからかうように仲間うちで投げ合う。
「お願い、返して……っ!」
小さなアレクが必死に両手を伸ばし本を追いかければ、少年たちは嫌な笑い声を響かせた。
(なんて悪ガキどもなの……!)
見ていられなくて、思わず心の内で令嬢らしからぬ悪態を吐くアメリ。木の陰から飛び出し、少年たちを追い払おうと足を伸ばした時のことだった。
「何をやっている?」
聞き覚えのある声が、見張りの塔の入り口から聞こえた。
要塞城であるロイセン城にも、僅かではあるが美しい庭がある。それは見張りの常駐する塔と居館の間にあり、女神像をシンボルとした小さな噴水の周りには、色とりどりの季節の花が咲いていた。
箒を手にアメリが中庭に行くと、噴水の脇に小さな人影を見つけた。うずくまり本を読みふけっている、騎士見習いのアレクだ。
よほど面白い本なのか、アレクは夢中で本のページをめくっている。アメリは、アレクに声を掛けようとした。カイルに冷たくあしらわれ、深く傷ついてはいないか気がかりだったのだ。
だが、アメリが行くよりも早く、数名の少年騎士達がどこからともなくやってきてアレクを取り囲んだ。休憩時間で、暇を持て余しているのだろう。
「あ、弱虫アレクだ。こいつ、また本なんか読んでやがる」
「ネクラだな」
「落ちこぼれの癖に、こんなところで油を売ってていいのかよ」
すぐに、少年たちの執拗な嫌がらせが始まった。一人の少年がアレクの手から本を取り上げると、アレクをからかうように仲間うちで投げ合う。
「お願い、返して……っ!」
小さなアレクが必死に両手を伸ばし本を追いかければ、少年たちは嫌な笑い声を響かせた。
(なんて悪ガキどもなの……!)
見ていられなくて、思わず心の内で令嬢らしからぬ悪態を吐くアメリ。木の陰から飛び出し、少年たちを追い払おうと足を伸ばした時のことだった。
「何をやっている?」
聞き覚えのある声が、見張りの塔の入り口から聞こえた。