獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
回廊を歩み中庭まで出てきたカイルは、噴水を覗き込む。


真昼の太陽光を受けて輝く水面には、不吉な金色の髪をした自分の姿が映った。


この世の全てが憎い。


そう思っているはずなのに、ゆらゆらと揺く水面に映る自分は、思いもしなかったほどに哀しげな瞳をしている。


そんな自分の顔から視線を逸らし、カイルは息を吸い込んだ。


そして、昨晩自分を真正面から見つめたアメリの潤んだ眼差しと、あたたかな肌の感触を、胸の奥から無理矢理に掻き消したのだった。
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