能ある狼は牙を隠す



「……いっぱい泣いちゃったね」

「うん」

「恥ずかしいね……」

「はは。うん」


観覧車から降りて、彼と二人、手を繋ぐ。

一周し終わってドアを開けた係員さんが、私たちの顔を見て物凄く驚いていた。そのあと私たちもお互いの顔をしっかり見合わせて、笑ってしまった。
鼻は真っ赤で、目もぱんぱんに腫れて、こんなに泣き喚いたのは小学生以来かもしれない。

左薬指、まだ慣れない金属の感覚が冷たくて、でもそれはきっと彼も同じだ。
私と一緒の、金色のリング。玄くんがずっとバイトを頑張っていたのは、このためだった。


「羊ちゃん」

「ん?」

「それ、学校ある日はつけなくていいけど、それ以外の日はつけて欲しいなって……」


だめ? と彼が縋るように首を傾げる。
私はその顔を見上げて、それから前を向いた。


「うん、だめ」

「えっ」

「毎日つけるよ。……流石に学校にはしていけないけど。家でつけるなら、大丈夫だよね?」


私だって、毎日玄くんを想ってるよ。多分、玄くんが想像するよりずっと、私は玄くんが好きだと思う。


「玄くん、ありがとう」

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