逃げたがり王女~さらわれ囚われたと思ったら溺愛されてました!?~
はじまりの日
この町の朝は早い
 
日の出のとともに起き、活動をはじめる
 

青果店を営むこの少女…ユリィ・ファラコットも例外ではなかった
 

肩までたらした栗色の髪はフワフワと波うち、パッチリとした瞳は、垂れぎみで愛らしい。黒目がちな瞳の色素は薄くよくみれば金色を帯びている。きめ細かな頬に、果実のような血色のよい唇

歳は18くらいだろうか。全体的に小柄で華奢だが、年頃の娘らしいしなやかさがあり、それがなんともいえない雰囲気をにじみ出している
 

彼女…ユリィが一人で切り盛りするこの青果店も、日の出とともに活動を開始していた

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

「いらっしゃいませ!」
 
「新鮮なお野菜はいかがですか?…トマトですね。こちらになります!」
 

おとうさんとおかあさんが事故で亡くなってから四年。残してくれたこのお店でなんとかやってるけど
 
……みんなが心配しないようにがんばらなくちゃね
 
そんな思いを胸に、ユリィは毎日きちんと店を開けていた
 
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