クールなサイボーグ部長の素顔
「やり方がずるいのは自覚してるが、逃がしたくなかったし。千波、動けたら即逃げ帰って、俺との事は無かったことみたいにしてくるなと思ってな」

うん、間違いなくそうする。

「それじゃ、俺の気持ちはどうなる?俺の告白も無かったことにするのか?」

はて?告白とは?
私の顔にはしっかり、分からないと浮かんだのだろう。
それを見て

「俺、最中とはいえ、好きだ、愛してるって言ったよな?ん?聞こえなかったか?」

えぇっと…、うん、言ってたね。
聞いたね、ガッツリ繋がった時にね!
思い出してぶわっと顔が一気に熱くなる。
きっと私いま赤い。
顔を隠そうと手で隠しつつ俯く。

しかし、そんなこと許すタイプじゃない課長は私の頬に手を当てて顔を合わせた。

「こら、ちゃんとこっち向け。聞こえてたんだろ?別に返事はすぐじゃなくてもいい。ただ、俺が千波に振り向いてもらうために頑張るだけだから。だから、せめて無かったことにはしないでくれ」

こと、その声が真剣で切実だったから。
私は、頷いた。

「分かったりました。無かったことにはしないです。というか逃げ出せないし、現状出来ないし。でもそろそろ私は帰りたいんですけど?」

そう言うと

「家に帰って一人で動けるの?」

うん、無理。
ソロっと顔を横にずらすと

「無理だろ?そうなるようにってのもあるけど、片思い長かったからな。我慢が効かなかった。今日もこのままここに居ろ。流石にもう今日は手を出さないから」

その言葉に仕方なしに頷いて、私は再びソファーにゴロんと横になったのだった。

そして、つかす離れずの距離に座って持ってきたタブレットで仕事を始めた課長。
それを眺めつつ、疲れとお腹が満たされたことにより私はウトウトとまた眠ってしまったのだった。

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