【長完】Keeper.l
「お前、雪を伸しただろ。」
「「「「…………は!?!!?!?」」」」
素っ頓狂な声が大合唱した。うるさ、なんて思い少し顔をゆがめる。そういえばドアは開いていたんだっけ?なんて思いながら確認すれば閉まっていた。下にはこの声聞こえなかったのか。残念。
『ええ。首の後ろをコーン!と。』
あほ面の人達に優雅に微笑んでやる。自分の顔がいちばん綺麗に見える顔で。勝ち誇ったように。
「漫画かよ……。え、じゃあ5万円は?」
『ごめんなさい、ちょっとお金に困ってて。』
舌ペロでもするような勢いで、ぺろっと認めてやる。
「街中で素直に言わなかったのは?」
『警察を呼ばれるような騒ぎになりたくなくて。』
「それでパパ活もどきの窃盗?恥ずかしいな。」
「そういうな、輝。俺たちもそれを言ったら恥ずかしいさ。まさか油断していたとはいえ普通の女に幹部が1人伸されたんだ。情けない。」
「つまり5万円は高い勉強代だな、諦めろ、雪。」
「は!?嘘でしょ!?」
申し訳なさはもちろんあるが、そもそも十勝の言う通りである。私が普通にどこにも所属していないから助かっただけで、敵対している暴走族の手下が私でその後身柄を誘拐云々なんて起きたらその後ひと騒ぎなんてレベルじゃないぞ。
呆れたような顔が出ていたのだろう、藍色が反省したように肩を下げた。
十勝が思い至ったような顔で、こちらに問う。
「お前、ずっとそんな生活を続けていたのか。親は?」
『……いないわ。』
「住む場所は?」
『ないわね。』
「なぜ?行政に助けを求めないのか」
『人に追われていて下手に痕跡を残したくないの。頼れる人がいないから、信じられるのは自分のみ、みたいな。』