【長完】Keeper.l



ギャーギャーと言い争っている人たちを横目に幹部室を観察する。全部話してしまえばあとはもうどうにでもなれである。余裕が出たようだ。

黒が基調となっている部屋。壁紙も黒でソファーや机も黒だがライトが明るいお陰でそんなに重さがない。ちょっとした観葉植物が置いてあるのも可愛らしさがある。

ああ、あと日当たりがいいんだなこの部屋。運が良ければこのまま解散、悪けりゃ最悪窓から脱走ね。あの隣の木とか勢いを殺すのに良さそうなんてぼんやりと見た。

ふむ、と何回か頷くように考え込んだ後、こちらに目を向けられた。早く帰りたいのだが。


「そうか……気に入った。なぁ、お前、神龍に入らないか?」

『え?』

「は!?」

「龍!?」

「どういうことだよ!お前まさかこの女に一目惚れでもしたのか!?」

「そうじゃない。考えればわかるだろ。雪を気絶させられる腕力と俊敏さ。雪は幹部だ。油断していても女に遅れをとるわけはない。それを騙せたんだろ。人材的には欲しいだろ。」

「まぁ……」

「今はどことも抗争はないが、激化しない可能性もない。……最近トップが入れ替わるという話があるからな。備えておいて損は無い。

千歩の護衛のことも気がかりだ。俺たちは男だから、どうしても手が届かないところがある。」

「戦力はあって損はないからね。」

「あとはお前らが信じられるか、だが。……なぁ、お前、名前はなんて言う。」

紫陽 里香(しよう りか)

「年は?」

『16。』

「学校は?」

『制服が届き次第、星ヶ丘に。』

「行くところが無いと言っていたな?衣食住保証するから俺たちの仲間にならないか?」

『……そうね、私にとってはありがたい話になるわね。』

優しく微笑んだ十勝。立ち上がり私を手招く。


「契約成立だな。ちょっといいか。空きの部屋なんだがここしかなくてな。総長室の奥の部屋を使え。そこの部屋は俺の部屋を通らないと行けないからお前に手を出そうとするやつは物理的に不可能になる。

ただお前の部屋からなら俺の部屋を通らずともこの幹部室に行けるから。

そうは言っても俺自身のことも信じられないだろうが、お前の部屋には内鍵がある。そこを閉めて寝れば少しくらい安心できるだろ。」

『私の安全に気を配ってくれてありがとう。…でも、この部屋ってお姫様用の部屋なんじゃないの?

それに私が敵の手下だったら、寝首を書きやすい部屋を与えたことになるわよ。そんなに簡単に信用していいの?』

「そこは確かに、姫の部屋ではあるが千歩は家から通っているから構わない。

お前は千歩と雪と同じ年だ。学校も同じだから2人、特に雪をお前の監視係につける。千歩とは守りつつ監視されつつだな。

俺は人を見る目には自信がある。逆も然りだ。お前が俺たちを信用できるのかって話もある。生活を預けるわけだし、こっちは大所帯だからな。ただ、信用も信頼も築いていくしかないだろ。」


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