【長完】Keeper.l
Side.R
金髪達と合流して走り始めた時、《千歩が備品室その1に来ました〜》永富からゆるーく連絡があった。
『やっぱり、自分から行ったのか。トイレの中までついてくべきだったかな。』
思わず走りながら言葉を落とす。まさかあのシリアスシーンでトイレに行きたいなんて言い出すから余程切羽詰まっているのかと思へば、抜け出して向かうからだったなんて。
「いや、こればっかりは仕方がないだろう。千歩の行動は誰も予測がつかねぇからな。
千歩、俺が小さい頃にアイス落としてショックを受けていたら、千歩は笑いながら自分のアイスを俺の口へ突っ込んだからな。」
『……サイコパスじゃねぇか。』
走りながら十勝が口角を緩めて楽しい思い出を掘り返すように、慈しむように話す。だがその顔から紡がれた内容は思った以上にパワフルなお姫様のお話だった。
もう少しほのぼの系の話があってもいいんじゃない?
ガタガタガタッ、
玄関、理科室、着々と奥の方にある備品室その1へと進んでいる時に教室から音がした。
何となく、スピードを落とす。ここに、人がいる?何故?だってもう授業は終わったはずなのだからここに生徒がいるはずがない。
だってここには特別室しかないのだから。
てことは先生だろうか?
ガタガタガタッ、バーン!!!
荒々しく大きな音で扉が開かれた。
「おめぇらが、噂の神龍さんかぁ?」
中から現れたのは、武器などを沢山持った男達。どこかの暴走族の人達だろうか。
髪の毛がカラフルで、ピアスなどもしていてごつい。兎にも角にも、ごつい。うん。ごつい。