【完】放課後、図書室で。

私がちゃんと茅野くんに委員会だって言わなかったから。
だから茅野くんは悪くないの。


それに、きてくれたから。
もう委員会終わる時間だけど。
それでも来てくれたから。
それだけで、充分だった。


「いや俺が悪いよ。って、藤村手!」


私の手元の血に気付いたのか。
慌てた茅野くんはポケットから絆創膏を取り出した。


「少し動くなよ。」


少し震えた手で。
丁寧に茅野くんが絆創膏を貼っていく。


触れられた指が熱を帯びる。
ど、どうしよう。
茅野くんが私の指触って、絆創膏はって……。
私、祟られるかも。
こんな幸せなことってあるの!?


「……ごめん上手く出来なかった。」


そう言われて手元を見てみると。
少しぐしゃってなった歪なはりかたで。
でもそんな不器用さが。
可愛いなあって思えて。
不服そうな茅野くんが少し、近い存在に思えた。


「あ、あの委員会、ごめんなさい。」


「いや藤村が謝る事じゃねえよ。
 俺に言いづらかっただろうし。」



< 12 / 38 >

この作品をシェア

pagetop