【完】放課後、図書室で。

周りに他のやつらいたら言いにくいよな、と言った茅野くんは。
申し訳なさそうで。
その顔で気付いた。


多分きっと、今回みたいなことは初めてじゃないんだろう。
気遣われて教えてもらえなかった。
話しづらくて聞けなかった。
私らみたいなカースト下位の人間は。
話しかけるのすら難関だから。
きっと、その事に気付いているから。
茅野くんは謝ってくれているんだろう。


ほんとう、優しいなあ。


「先生にさっき今日が委員会だって聞いて走ってきたらさ。藤村うずくまってるし本はやたら多いし。まじで焦った。」


「ご、ごめんなさい……。」


「いやだから謝るなって。
 これ、片付けなきゃいけないんだろ?
 さっさとやってしまおうぜ。」


そう言ってから茅野くんは本の整理を始めた。
最終下校時刻はとっくに過ぎていて。
学校には私と茅野くん、ふたりだけだった。


無言で片付けを始めていく。
大体の確認は終わっていたし。
後は片付けるだけだったから。
ふたりでしたら10分ほどで作業が終了した。


茅野くんテキパキ片付けててすごかったなあ。
私いなくても、茅野くんだけだったら時間内で終わってたかも。
ほんとう、なんでもできるんだ。




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