Invanity Ring --- 今宵、君にかりそめの指輪をーーー
そんなことを考えながらしばらく待っていると、綾が振り向く。
「できたわよ、ケイ」
言って椅子を回すと、おずおずと華月が立ちあがった。
「へー……」
きれいな子だな、くらいには思ってたけど、これはなかなか……
ざっくりと髪をアップにまとめて少し派手なメイクをした華月は、すっかり色っぽい大人の女だ。
うん、これならどこへ連れてっても十七歳には見えないだろう。
「上玉じゃない。どこで拾ってきたのよ」
「その辺。ありがと、綾。そのうちお礼する」
「ふふ、期待してるわ」
ウィンクしながら、綾は道具を片付け始めた。
「こんなお化粧も、初めてです」
照れたように言った華月は、慣れない自分に落ち着かない様子だ。
「大人っぽくなったよ。これ、いい色だな」
服に合わせたのか、華月の唇には真っ赤なルージュが塗られていた。派手な色なのに下品な感じがしないのは、華月がその色に負けていない美人だからだ。
綾が、得意げに振り向く。
「でしょ。この春の新色ですっごい綺麗なんだけど、その色が似合う子ってそうそういないのよね」
「だな。綾、これ一本もらっていい?」
「いいわよ。ちょっと待って……はい」
「サンキュ。はい、これ。プレゼント」
俺は、まだ封も切られていない新しい口紅をぽん、と華月に渡した。驚いた顔で、華月はそれを受け取る。
「できたわよ、ケイ」
言って椅子を回すと、おずおずと華月が立ちあがった。
「へー……」
きれいな子だな、くらいには思ってたけど、これはなかなか……
ざっくりと髪をアップにまとめて少し派手なメイクをした華月は、すっかり色っぽい大人の女だ。
うん、これならどこへ連れてっても十七歳には見えないだろう。
「上玉じゃない。どこで拾ってきたのよ」
「その辺。ありがと、綾。そのうちお礼する」
「ふふ、期待してるわ」
ウィンクしながら、綾は道具を片付け始めた。
「こんなお化粧も、初めてです」
照れたように言った華月は、慣れない自分に落ち着かない様子だ。
「大人っぽくなったよ。これ、いい色だな」
服に合わせたのか、華月の唇には真っ赤なルージュが塗られていた。派手な色なのに下品な感じがしないのは、華月がその色に負けていない美人だからだ。
綾が、得意げに振り向く。
「でしょ。この春の新色ですっごい綺麗なんだけど、その色が似合う子ってそうそういないのよね」
「だな。綾、これ一本もらっていい?」
「いいわよ。ちょっと待って……はい」
「サンキュ。はい、これ。プレゼント」
俺は、まだ封も切られていない新しい口紅をぽん、と華月に渡した。驚いた顔で、華月はそれを受け取る。