Invanity Ring --- 今宵、君にかりそめの指輪をーーー
「彼女、そんな男やめて俺らと遊びに行かない?」
「そんなつまんなそうな坊ちゃんじゃ、教科書通りの遊びしか知らねえだろ。俺たちなら、すっげえ刺激的なコトいっぱい知ってるぜ」

 へらへらと笑う男たちに、華月がおびえるのがわかった。
「俺たちには構わない方がいいぜ」
 一応、警告はした。けれど、案の定男たちはそんなことでは引きさがらない。人数で押し通せると思ったんだろう。

「彼女は俺たちにまかせろよ」
「そうそう、ああ女と財布は置いてけよ。いい成りしてるじゃん。けっこう、持ってんだろ?」
「痛い目見ないうちに、さっさと有り金出せよ!」

 そう言いながら、その男が華月の肩に手をかけた。華月が悲鳴にならない息をのむみこむ。

「痛い目って、こういうこと?」
 俺はその手を取り上げると、軽く回した。ぼき、と派手な音がして男が悲鳴をあげる。

「いてえええええええ!」
「関節を外しただけだから、痛いだろうけど骨は折れてないよ。俺の女に勝手に触んな」
「てめえ!」
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