Invanity Ring --- 今宵、君にかりそめの指輪をｰｰｰ

　どうしてこの子は、そんな風に思えるのだろう。たった一人で、誰も賛成してはくれない夢をあきらめることなく、しっかりとその胸に抱いて。その心の強さは、どこから来るのだろう。
　辛くてそうやって泣くくせに、どうして、また前を向いて笑えるのだろう。

　無意識のうちに、俺は華月の肩に回していた片手でその頬に触れていた。しっとりと暖かい頬を、包むように覆う。
「ケイさん……？」
　不思議そうに見上げた華月の瞳に吸い寄せられるように、俺は……

　と。
　視線を感じて、俺はさりげなく横に目線を走らせる。そこには、男が四人、こっちを見ていた。
　まずいな。
　俺は華月の頬から手を離すと、その腰に手を回して歩き始めた。

「あの……？」
　どぎまぎと顔を赤らめる華月の顔を楽しむのは、もう少しあとにしよう。今は……

　遅かったか。
　再び歩き始めた俺たちの周りを、四人の男が囲む。華月が、すがるように俺の腕をつかんだ。