Invanity Ring --- 今宵、君にかりそめの指輪をーーー
「俺がそんなんだから、周りに集まってくるのも大抵はろくなやつらじゃなかった。金回りのいい俺に群がるのは、調子よく遊びたい男と、友人に俺を自慢したい女。表面だけの笑顔の中で、俺も同じ笑顔で、ただ無意味に時間だけを重ねてきた」

 絞り出すように語られる言葉を、華月は、じ、と受け止める。

「俺は、その程度の人間なんだ。だから、同じような境遇なのに、何があってもぶれずに自分の夢を持ってそれを追い続けている華月を前にして……俺は……俺は」
 圭介は、大きくため息をついた。
「俺は、自分を恥じた。そうして、腹立ちまぎれに君を泣かせた。いい年して、最低、だな」
 掠れた圭介の声を聞いて、華月は、自分の手を握りしめた。

「そんな……っ!」
 華月が何か言おうとした瞬間、闇の中で柔らかく唇を塞がれた。黙って、と圭介の唇が無言で告げている。
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