最後の男(ひと)
「ひとつ質問ですけど、この話は私にだけしているんですか? それとも、他に目星をつけた人がいたりします? 当然、ある程度日本に滞在している間に形を調えるつもりでいますよね」
「さすが、一香がそう思うのも無理ない。正直、その手も考えたけど、こっちにいる間仕事に余裕がある訳でもないから時間的にも厳しいと判断した。それに、基本俺が同時進行とか無理なタイプだからな。ここだけの話、任期はあと2年だけど、俺は1年で帰ってくるつもりでいる。その為にこれまで休み返上して働いてきたからな。だから、一香が決められないって言うなら、帰国してからゆっくり相手探すよ」
「なら、今回の話も慌てないでゆっくり進めてもいいんじゃないですか」
「それじゃあ遅いんだよ。一香が人のものになってたら間に合わないだろ。俺は割と前から一香がいいって思ってたよ」
先輩はずるい男だ。好きとか愛してるとか、大袈裟な言葉をいま使っても響かないことを分かっていて、「一香がいい」と言ってくる。どんな愛の言葉よりも、いま一番信じられる言葉。
「先輩って、人たらしですよね。お話、ちゃんと考えたいと思います。だから、エッチしてなし崩し的に好きになっちゃわないように、今日はホテルやめておきます」
「残念。俺は、一香にすぐ好きになってほしいんだけどな」
ふ、と口元から零れる困ったような笑み。残念なんて言いながらも、その表情には余裕がある。ガツガツしていない大人の男。2ヶ月後に私が頷くことを予感しているのか、先輩の瞳はいつものように自信に溢れている。
「さすが、一香がそう思うのも無理ない。正直、その手も考えたけど、こっちにいる間仕事に余裕がある訳でもないから時間的にも厳しいと判断した。それに、基本俺が同時進行とか無理なタイプだからな。ここだけの話、任期はあと2年だけど、俺は1年で帰ってくるつもりでいる。その為にこれまで休み返上して働いてきたからな。だから、一香が決められないって言うなら、帰国してからゆっくり相手探すよ」
「なら、今回の話も慌てないでゆっくり進めてもいいんじゃないですか」
「それじゃあ遅いんだよ。一香が人のものになってたら間に合わないだろ。俺は割と前から一香がいいって思ってたよ」
先輩はずるい男だ。好きとか愛してるとか、大袈裟な言葉をいま使っても響かないことを分かっていて、「一香がいい」と言ってくる。どんな愛の言葉よりも、いま一番信じられる言葉。
「先輩って、人たらしですよね。お話、ちゃんと考えたいと思います。だから、エッチしてなし崩し的に好きになっちゃわないように、今日はホテルやめておきます」
「残念。俺は、一香にすぐ好きになってほしいんだけどな」
ふ、と口元から零れる困ったような笑み。残念なんて言いながらも、その表情には余裕がある。ガツガツしていない大人の男。2ヶ月後に私が頷くことを予感しているのか、先輩の瞳はいつものように自信に溢れている。