This Is Love Story
「……誕生日にお前と喧嘩したくない。」
あぁ…負けた。
時々みせるこの子犬のような顔に、私はどうも弱い。
たぶん何をされても、この顔を見せられたら許してしまうような気がする。
「だって、私だけ知らなかったなんて…。
禅くんの彼女なのに…。」
禅くんはバイクを停めて、俯く私をそっと抱き締めた。
「…悪かった。
誕生日なんて…この歳になると祝われるのも照れくさいんだよ。」
いつものように、ふわっと香る甘い香水の香り。
この匂いもこの温もりも、全部が好き。
ずっと抱き締めていて欲しいと思うくらい。