暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】

消えた寵妃








「実に不可解な点ばかりだ……」


後日。執務室に訪れたファンは資料を片手に難しい表情をしていた。


「目撃者は多数いると言うのに、刺された本人の彼女の傷は、運ばれた時点で既に無傷であったとは………意味が分からない」


瀕死と聞いたその使用人は、あの後すぐ様タンカで運ばれたらしいか、服には沢山の血痕がついていたと言うのに、対する本人には傷一つ見つからなかったという。


そして、逆にアニはあの後から一切目を覚まさない。

まるで眠り姫かのようにずっと眠ったままだ。


栄養が取れるようにと、管で繋がれていたのを見た。


「精神的な何かであのように寝込んでいるのか?」


「分かりません。ただあのように眠り続けるのは非常に珍しいとの事です」


あの管にも限界がある。


ずっとあのまま目を覚まさなかったら最悪死が待ち受けていると、医者は言っていた。


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