暴君陛下の愛したメイドⅠ【完】



「すまない。余の気のせいのようだ」


「では、失礼致します…」


私は軽く頭を下げて執務室から出て行った____。







「…………おかしい」

「何がです?」


アニが急に姿を消して早1週間。


あの日余はあの者の手を握り『起きてくれ』と何度も願った。


そして、その思いが通じたのか確かにアニは目覚めたのだが、


そこには姿がなく、ベッドの上はものけの殻状態。



最初は誘拐を疑ったが、仮にそうだとすれば怪しい者を誰かが見ているはずだし、


そもそもそんな真似をしなくともまず余を狙うはずだ。


ならばアニが自ら余の側を離れた他ないのだが、


なぜそのような行動をしたのか理解できぬ。



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