彼は私の全てだった
私がその夜部屋に戻ると中村さんが聞いた。

「もしかして…今日警察の人が来なかった?」

私が頷くと中村さんはやっぱりという顔をした。

「中村さんは何か知ってるの?」

「小泉柊が…どうも良くないことに加担してるらしい。」

「良くないことって?」

「この辺の主婦相手にドラッグを売ってたらしい。」

「え?」

私は自分の耳を疑った。

「それで、昔勤めてた店に聞き込みに来て…
本社にも話を聞きにきた。

バックに大きな犯罪組織が絡んでるんじゃないかって警察は血眼になって小泉くんを探してるみたいだ。

ミチルは小泉くんとは同僚だったからきっと話を聞かれると思ったんだ。」

私がただの同僚じゃなかった事を中村さんは警察の人に話したのだろうか?

信じられなかったが
ターゲットが主婦というところが引っかかっていた。

シュウは母親という立場の人を憎んでるのではないかと思ったりした。

その次の日に、私は彩未から電話をもらった。

どうやら彩未のところにも警察の人が来たようだった。

「シュウちゃんに何があったの?

柿沢さんなら知ってるんじゃない?」

「3年前に突然姿を消して…その後は知らない。」

「ねぇ、柿沢さん、誰にも言わないって誓える?」

「え?」

彩未はシュウの事を何か知ってるみたいだった。



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