彼は私の全てだった
Take me with you!
シュウがいなくなって3年の時が流れた。

私は都内の店舗に移り、
今は既にマネージャーを任されている。

あれから中村さんがずっと私を支えてくれて
私たちはいつしかお互いを大事に思うようになって
自然に一緒に暮らすことになった。

中村さんは今は本社勤務になったが
たまに私の働く店舗に顔を出してくれる。

私と中村さんの仲は会社でも既に公認だった。

それでも私はたまにシュウのことを思い出している。

今何処にいるのか?

何をしてるのか?

シュウのことは噂にも聞かなかった。

どこか遠い街にでも行ったのだろう。

もしかしたら海外かもしれない。

そんな風に時々シュウのことを思い出しては
切なくなった。

そんなある日の午後だった。

私に思いもよらない事が起きた。

その日働いていると男の人が2人でやって来て
身分証明書を見せて私にとある写真を見せた。

「この男に見覚えありませんか?」

それは紛れもなくシュウだった。

「あの…何があったんですか?」

「この男、ここに来ませんでしたか?

小泉柊…ご存知ですよね?」

男たちは警察の人で私はワケもわからずに頷いた。

「この辺りで見かけたっていう情報が入りまして…」

「あの、すいません。

この人は…何をしたんですか?」

刑事は詳しくは教えてくれなかったが
見かけたらここに連絡するようにと連絡先だけ残して行った。

シュウは一体何をしたのだろう?

窃盗?詐欺?それとも殺人?

そんなことを考えて気が遠くなりそうだった。

シュウが犯罪に手を染めるほど落ちぶれているとは思いたくなかったが
どう考えてもまともに生きてるとは思えなかった。





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