ふたりの彼女と、この出来事。 (新版)
「ミュージック・スタート!」

掛け声と共に音楽が響き始める。

同時に輪になって集まってくる研究員たち。

「あーあー、それでは只今より、ここ近未来研究所でめぐり逢った二人の、永遠の契りを誓うセレモニーを、厳かに慎ましく執り行いたいと思います!」

途端にやかましく鳴り響くクラッカー。

(…)

ホント、

(どこまでやるんだろう、この人たちは)

闇に浮かぶ一筋のライトの光。

パンパンパンと派手にクラッカーが鳴り響いて、紙テープが舞い紙吹雪が降り注いでくる。

「おいみんなこらっ、鳴らし過ぎるのは止めろっ!厳かに慎ましくって言ってるだろー」

「いいじゃないですか所長。賑やかにやりましょう賑やかに!」

「何を言うんだい本田君、」

クラッカーが鳴り響く中で掛け合う所長と本田君。

と、横でカメラを構えるディレクターが、ふと気づいたようにニッと微笑んでこっちに寄って来た。

「ほら何してるんですか。ボーッとしてないで彼女の横に並んであげてくださいよ」

「え、え?ミライの横に?」

う~ん、それはちょっとぉ。

「何照れてるんですか」

って、そりゃ照れるでしょ普通。

「いやあの、こういうのって、」

ハイそうですかと、簡単には…。

「お願いしますよ。ウチの独占契約は今日までなんです。私を助けると思って、ね」

って、今まで散々助けてあげたじゃないですか。

「お願いしますよ~。ねっ。先生だって、今日まではここの指示通りに動く契約なんでしょ?」

ウッ。

(そうだった)

痛いトコロを突いてくるな。

「センセ~」

と、横から広海君が歩み寄ってきた。

「ナニ照れてるの?早く並んでよ」

ってオ~イ!

「君こそナニ乗り気なんだよ」

広海君、キミは、

「僕にそんなに、ここで式を挙げさせたいのか?!」

まじまじと見つめた。

君は、僕と式を挙げるつもりはないのか?

「ううん、そうじゃないわ」

と、首を振ってじっと見つめ返してくる。
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