タイトル7
「二〇一八年、五月十六日。車に撥ねられ出血多量で死亡。問題は特になしっと……。」
手持ちの万年筆でちゃちゃっと問題なしと記入するとそのまま俺は、魂をビンの中に入れて現世界からの応答の電話を待っていた。
魂の回収方法は基本魂専用の特殊な小瓶の中に入れるだけなので非常に簡単だ。
ぶっちゃけ言えば、害獣さえ退治してしまえばあとはどうにでもなるのである
「うーっ寒いさっさと電話寄こせよ……。」
現世界じゃあもう春なのに夜は風が強くて寒い。まったく、どうなってんだか……ポケットの中に両手を突っ込んで立っていると携帯電話のあのバイブが短く鳴った。
「はい、もしもし。」
『魂の回収おつかれちゃーん。で、どうよタイトル7行きの魂は。なんも問題ない? 』
「まあな、怪しい気は感じられないし、このまま異動してもいいんじゃないか? 」
『あっそ。了解、じゃあ今送っちゃうね』
魂の入った小さい瓶はころんころんと鈴の様な音を小さく鳴らすと瓶ごと瞬間移動したように消えてしまった。
よし、これで回収は終わった。
『今回収したんだけど、そっち大丈夫? 』
「ああ、何の問題もない。じゃあ俺は帰るぞー……こっちは寒くて仕方がない。」
『え? うっそ、今そっち春でしょ』
「俺もそう思ったんだけどなぁ、今年はまだ寒いんだよ。」
『……ふーん。へんなの』
電話がプツりと切れると俺はそのまま本部の方に戻ることにした。
基本戻り方は『戻りたい』と頭の中で念じながらどこかのドアを開ければそこがつながるので、あんまり大変ではない。
俺は、近くの階段の非常口らしきドアを見つけるとささっとドアを開けて現世界とよく似たオフィスに出た。