* KING+1 *
「ここ一般的に宿泊先とか言いませんよ。」


これ普通にマンションなんだけど…。しかも絶対お高いであろう立地と外観ーーー、庶民にはあり得ないの一言。


「何で?俺の部屋の隣が空いたのが一昨日でさ、速攻部屋クリーニングとリフォームさせたんだよ。何か足りないものとかある?」


部屋は全ての物が既に搬入されていて…フランスでの先輩の時のデジャブか、いや越えている。


クローゼットを開けると服が入っているとか、ホラー?ここまでされると笑ってしまう。


「これ、どういうつもりなんですか?」


「俺が杏果に快適に過ごせるように準備したかっただけ。一緒に住むのが本当は理想なんだけど、それだと嫌がられると思ったんだよ。隣だと一緒の時間が保てるし、都合悪い事ある?」


「いえ有難いですけど、ちょっと一社員に対する福利厚生の域をかなり越えてる行動ではと思いまして…。」


「小さい事は気にしないで、俺からのホンの気持ちだからさ。」


はぁ…金銭感覚が違い過ぎる人のお金の使い方は半端ない。でも使っちゃったからには、返してって言っても無理なような気がするし、
私が日本にいる間、住む場所も無い訳だから、贅沢過ぎる住まいだけど、今日からここが私の城となった。


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