Happy？～結婚生活は甘くて危険がいっぱいです～

「とりあえず、座れ」

テーブルの方を指差した彼に従って、わたしはそちらの方に足を向かわせた。

わたしが椅子に座ったことを確認すると、彼は向かい側の椅子に腰を下ろした。

夫になったと言う目の前の彼は、なかなかと言っていいほどに精悍な顔立ちをしていた。

短髪の黒髪と二重の涼しげな目元にクールな印象を感じた。

「まずは…俺の名前から名乗った方がいいのかな？」

そう聞いてきた彼に、
「はい、お願いします」

わたしは言った。

「俺の名前は村雨忠政（ﾑﾗｻﾒﾀﾀﾞﾏｻ）、年齢は３２歳。

ＩＴ関連会社『Ｉロール』に勤務してる」

彼――村雨さんが自己紹介をしたので、
「わたしも自分のことを言った方がいいですか？」

わたしは聞いた。