Happy？～結婚生活は甘くて危険がいっぱいです～

「あっ、村雨さん」

オフィスに戻った俺を迎えてくれたのは、玉村だった。

「おはようっす」

屈託のない笑顔を見せてあいさつをしてくる玉村に、俺は何とも言えない気持ちを抱いた。

無愛想でカタブツな俺とは違って、人懐っこくて誰に対しても愛想がいい彼が今は悔しくて仕方がない。

俺は彼から目をそらすと、自分のデスクへと足を向かわせたのだった。

「えっ、村雨さん？」

俺が無視した理由がわからないと言うように玉村が戸惑っていたが、俺は何事もなかったかのように仕事を始めた。

「あっ、森脇さんと星崎さん！

聞いてくださいよー、村雨さんがさー」

後から戻ってきた森脇と星崎に玉村が話しかけたが、
「ごめん、話なら後にしてくれないかな？」

「私、電話をしなきゃいけないから」

彼らは仕事を言い訳にして、玉村から逃げたのだった。