次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい
「よろしく頼む」
「セ、セドマさん! はいっ! お任せ下さい!」
頼りにされていることに感激し目を潤ませたアレフへと背を向け、セドマは何らかの覚悟を感じさせるような面持ちで、力強く歩き出した。
結局、王様に呼び出された理由を聞きそびれてしまったことにリリアは気がついて、胸に広がっていく苦い思いに眉根を寄せた。
しかしすぐにアレフから張り切った様子で「行きましょう!」と声をかけられ、気持ちを切り替える。
城から外へと出て、眩い日差しに目を細めつつ、アレフのあとを追いかけ進んでいると、「オルキス様!」とすがる声が強く耳に響いた。
昨日、白馬から降りたその場所に今は馬車がとまっていて、馬車の傍にやれやれと言った顔のオルキスと、必死の形相のユリエルが立っていた。
「あぁ、こちらも厄介ごとに巻き込まれているようですね。一緒に割って入りましょう!」
ふたりを見て、思わず顔を強張らせ足を止めたリリアとは逆に、アレフはこれから悪戯でも仕掛けに行くかのような口調で楽しげに提案をする。
オルキスとユリエルの間に漂う殺伐とした空気を感じ取ると、割って入るどころか、近寄ることにさえ躊躇ってしまう。