次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい

挙動不審のようになっていたかもと反省し、第一王子の隣りを歩く今だけでも、堂々としているべきかもしれないと背筋を伸ばした。

なけなしの勇気を振り絞り虚勢を張ろうとしたけれど、その努力はすぐに打ち破られることとなる。


「オルキス様ーー! お帰りなさいませ!」


前方からこちらに向かって突き進んでくる女性の姿を視界に捕らえ、オルキスはほんの一瞬眉間にしわをよせた。

その女性は目に鮮やかな赤いドレスを着ていた。

胸元が大きく開き、肘まである袖は肩の部分にゆったりとした膨らみを持っている。

裾へと向けてふわりと広がっていくスカートを揺らしながら一直線に向かってくる姿の迫力にのまれ、怯えるように足を止めてしまったリリアにつられ、オルキスたちも立ち止まった。


「お帰りを今か今かとお待ちしておりました!」


少し暗くはあるが自分と同じ系統の色味を持った豊かな髪は、紫色の宝玉があしらわれた髪飾りを使い、乱れひとつなく結い上げられている。

気位の高さも漂わせているため、彼女が貴族の出自だということはリリアにもひと目でわかるほどだ。

しかも、瞳も深い緑色をしている。


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