惚れ薬
☆☆☆

さすがに緊張してきた。


休憩時間になるたびにタイミングを見計らっているのだけれど、なかなかクラスメートたちがいなくなってくれない。


大人数が教室に残っている状態で実行するのは、気が引けた。


「ねぇ、どうするの?」


3時間目の授業が終わってから真弥がそう声をかけてきた。


「そろそろかなって思ってる」


あたしは小さな声でそう返事をした。


クラスメートたちは多いけれど、これ以上待っていたら今日中には混入できない気がしてきてしまう。


「それじゃあ、あたしは航に声をかけてくるよ?」


「うん。お願い」
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