惚れ薬
「いらっしゃい」


中は薄暗い空間だった。


4畳半ほどの小屋の中央には丸いテーブルが1つ置かれていて、その向こうにレースの布で顔を覆った女性が座っている。


声の感じからすると、あたしのお母さんと同じ50代くらいに聞こえた。


テーブルの上にはトランプと水晶。


小屋の奥にある紫色の証明がこの空間の怪しさを更に倍増させている。


「どうぞ、座って」


そう言われ、あたしはテーブルの手前にある丸い椅子に座った。


安定感の悪い椅子で落ち着いて座っていられない。


「あの、ここって……」


「なにも言わないで」
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