惚れ薬
あたしの言葉を遮って、女性が真剣な表情で水晶を見つめ始めた。


レース越しに見える目は真剣そのものだ。


あたしは唾を飲みこんで女性を見つめた。


こちらがなにも言わなくても、女性はすでに何かが見えているのかもしれない。


「恋愛相談? 中藤青花(ナカトウ セイカ)さん」


不意に顔を上げて、そう聞かれた。


あたしはビクリと体を震わせて「そうです」と、小さな声で返事をした。


どうしてあたしの名前までわかったんだろう。


あたし、この人のこと全然知らないよね?


それに悩みも当たっていた。


あたしくらいの年代なら、恋愛や勉強や部活動など、悩みは沢山あると思うけど。


一発であたしの悩みの言い当てた女性に、ただただ驚くばかりだ。
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