ジンクス
感づかれる
学校の物を盗んだのは初めてのことだった。


お店でも、友達の物でも、あたしはなにかを盗んだことなんて、今まで1度もない。


いつバレるかもしれないと思い、カーテンの向こうの物音に敏感に反応してしまう。


先生が椅子を立ち上がるたび、棚を開けるたび、あたしの心臓はギュッと痛んだ。


そんな中でも、あたしは自分がやるべきことを見失ってはいなかった。


鞄を開け、さっき盗んだばかりの薬品を取り出す。


止血剤は飲み薬になっていた。


血が固まりやすくなるのかもしれない。
< 126 / 252 >

この作品をシェア

pagetop