ジンクス
それだけでもあたしにとっては幸せなことだったんだけど……。


「今年で高校も最後でしょ」


あたしはそう言い、またお弁当へと視線を落とした。


共働きの両親が忙しいため、自分のお弁当は自分で作っている。


1年生の頃からそのスタイルが続いているため、今ではなかなかの腕前になっていた。


「そうだね」


杏が菓子パンを頬張ってそう返事をした。


「そろそろ、彼氏とかほしいと思わない?」


そう訊ねる声が、さっきの半分くらいの大きさになってしまった。
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