あしたの星を待っている


黒沢さんは、お兄さんのことが好きなんだね。

だからこそ、この事件を知って悔しかったんだ。それで居てもたっても居られず自分の力でお兄さんを守りたいと思ったんだね。

小刻みに震える肩に、そっと手を伸ばした。


「まさか事件の被害者と、葉山先輩が付き合ってると思わなかったけど、当時の記憶がないと聞いて納得したわ。先輩にとってあなたは恐るべく存在なんだと、だから付き合うことで監視しているんだと思った」

「うん、そうだったのかも」

「気付いていたの?」

「いや、前に事件のことを話したことがあって。その時、”思い出したんだ”って言われたの。その時は変なこと言うなぁと思ったけど、今の話を聞いて分かった」


鈍すぎだよね、私。

自分でも呆れちゃうけど、あの花火大会の日は色々あり過ぎて思考が追い付かなかったんだ。ということにしたい。


「私、夕里さんのことを利用しようとしたの。同じ被害者であると思わせて気を引き、葉山先輩から何か聞きだせるんじゃないかって」

「うん」

「でも、それはあくまで聞き出せれば……って、だけで、危険なことをして欲しいとまでは思ってない」

「うん」

「だから、葉山先輩の家には行かない方がいい。というか行かないで」


お願い、と手を握られた。

その細い手から黒沢さんの思いが伝わってくる。

お兄さんのために転校までした。きっと色んなことに悩み、苦しみ、時には傷つきながらも、それでも必死でここまできた。

その努力をここで終わりにしたくないよ。




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