あしたの星を待っている


「私、先輩の家に行くよ」

「夕里さん!」

「ごめん、これくらいさせて。元はといえば私の親が事件をさっさと片づけたいがために示談にしたことが……ううん、私が記憶を無くしてなければ、黒沢さんのお兄さんが犯人にされることはなかったんだよ」

「違う、あれは、」


黒沢さんの肩に腕を回し、ぎゅっと抱きしめた。

辛いのは自分で、自分さえ我慢すればいいと思ったこともあったけど、苦しんでいるのは自分だけじゃない。

人は必ず誰かと繋がっていて、悲しみや苦しみは連鎖するものだと。

傷つくから、怖いからと蓋をして逃げたつもりでいても、何も変わらない。

根本から立ち向かわなきゃ意味ないとやっと気が付いた。


「もう後悔したくない」





先輩の家は予想を遥かに超える大きさだった。

門をくぐり中に入ると細道があって、邸まで続いている。

右手には高級車がずらり並ぶ駐車場、左は京都のお寺にあるような日本庭園。その奥にこじんまりとした建物があった。

といっても、普通の家くらいの大きさはある。


「あそこが俺の家なんだ」

「離れですか」

「そう、母屋は父と後妻が住んでいてね。義妹たちもいるから、邪魔者は離れでひっそりと暮らしてるってわけ」

「そんな、邪魔者だなんて」

「先にあがってて、飲み物とってくる」





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