あしたの星を待っている


笑顔は一瞬で消えて、鋭い目つきが現れる。

腕をさらに強く引っ張り上げた先輩は、息も絶え絶えの私を突き飛ばした。あっと思う間もなく地面にお尻をつき、芝生が目の前を舞った。

先輩、すごく怒ってる……。

座り込んだ私と目線が合う様に同じ体勢を取った先輩は、私の顎を掴んだ。


「ほら、さっさと答えて」

「ごめんなさい」

「そんなこと聞いてないよ、俺をがっかりさせた理由を聞いてんだよ」


がっかりってそんな。

ただ、怖かったんです。先輩の伏せた目を見た瞬間、どうしようもなく怖かったんです。それで気が付いた時には、もう。

だけど、先輩からしてみれば拒否られたような気持ちになったんだよね。

傷つけてしまったんだよね、私。


「先輩、わたし」


その時。


「お取込み中、悪いけど」


不意にそんな声が聞こえて視線をやると、常緑樹の間から学校指定のジャージを着た男の子が顔を覗かせた。瑠偉くんだ。

彼の手にはじょうろとスコップ、それから土が入った袋を肩に乗せている。

先輩は瑠偉くんを見た瞬間、ポカンとした表情をしたけど、すぐに笑顔を取り戻し、園芸部の仕事? と彼に問いかけた。


「今日中にやらないと帰れないで、すみません」

「いやいや、こっちこそ邪魔して悪かったね。花菜、行こうか」

「……はい」

「あ、ちょっと彼女さん借りてもいいっすか? 同じクラスなんですけど、人手が足りてないんで」




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