毒舌社長は甘い秘密を隠す
彼に続いて、社長室へ。
今日の業務を終えたのか、デスクの書類の束は【対応済】のケースにまとめられている。
社長の仕事の速さは秘書になる前から耳に入っていた。面倒な決裁事も、営業部レベルでは一筋縄ではいかない取引先との交渉も、社長の手にかかればあっという間に次の段階へ進むのだ。
「予定の時間には少し早いが、答えを聞こうと思って呼んだ」
「……そのことなのですが」
断れば、社長秘書ではいられなくなる。
だけど本当に彼の自宅で一緒に暮らすなんてことが現実にあるのかと、今一度確かめたくて。
「社長、本当に私をご自宅に置くおつもりですか?」
「そうだと言っているだろ? それが最善策だったんだからな」
やっぱり、まだ諦めてなかったのか。
週末、噛みついて追い出されるように帰宅したのは、彼の虫の居所が悪くなっただけらしい。