毒舌社長は甘い秘密を隠す

 真っ暗だった社長室の明かりが点いた。白い床に照明が反射し、ステンレスの脚にガラス天板が組み合わさったデスクが鎮座する室内は、他の部署の雰囲気よりもさらに洗練されている。
 ふと視線を下げると、応接セットのソファにスーツやビジネスバッグなどが置かれていた。


「あーぁ、最高に気持ちよかったのに」

 恨めしそうに私を見た彼は、着替えるから出て行くように手で追い出す仕草をした。


 社長室から出て、ドアに背をつけて立つ。
 お酒を飲んだ夜は、必ずアルパくんと添い寝していたと聞かされ、唖然とした。

 井浦リアルエステートの御曹司でもある社長が、まさかそんなことをしていたなんて、驚きが隠せない。


 超イケメンのアルパカと化していた彼――井浦 響は、Fluffy ALPAの代表取締役社長で、井浦リアルエステートの会長のひとり息子。
 大学を卒業後、そのまま親会社に就職することなく、二十五歳の若さで起業してグループ企業を増やした野心家だ。
 そして、不動産業界では一目置かれる存在でもある。

< 11 / 349 >

この作品をシェア

pagetop