毒舌社長は甘い秘密を隠す
「……なに、その本」
「あっ、それは」
この歳になって絵本なんて、知られるのは少し恥ずかしい。慌てて手を伸ばしたのに、社長が私に覆い被さるようにしている。
ふんわりと軽く香るのは、彼がまとう匂いだ。同じボディソープを使ってるのになんだか違うのは、彼の温もりのせいなのかな。
見上げれば、すっきりとした首筋と彫刻のように無駄のない顔の輪郭がある。
ランプの温かい明かりに照らされて、色気を感じてしまい目を逸らした。
「絵本って、子供じゃないんだからさ」
「昔から大切にしてるんです」
彼は私と同じように横たわると、絵本を広げて読み始めてしまった。
やっぱり彼が隣にいるだけで緊張して寝付けそうにない。こんな毎日じゃ、いつか寝不足になりそうだ。
「眠れない時に読むと、効果てきめんなんですよ?」
「へぇ……。じゃあ、今夜は俺が読んでやるよ」
「えっ!?」
「昨日もなかなか寝付けなかったんだろ?」
思いがけない提案に驚いている間に、彼は腕枕をして、両腕で絵本をかざす。私は腕に包まれる体勢になってしまい、少し左を見上げれば彼の顔がすぐそこにあった。